2016年08月24日10時00分

にっぽん日和 奈良 奈良市

にっぽん日和 奈良 奈良市



東大寺の大仏殿には、年間250万人以上が訪れます。奈良の大仏さまの正式名称は「盧舎那仏」。飢饉や干ばつなどが相次いで社会が混乱に陥った奈良時代、聖武天皇は国家鎮護を目的に、盧舎那仏を建立しました。

カメラ/渡邊春信 ライター/吉田彩乃 デザイン/北川原由貴 プロダクションマネージャー/池田大作 スペシャルサンクス/奈良市・株式会社トヨタレンタリース新大阪



歴史ある神社仏閣の街、奈良



古都・奈良、とも言われるように、奈良は歴史の深い街。千年以上続く神社や寺が多く、世界遺産に指定されている場所が多いのも魅力です。

華厳宗大本山 東大寺
奈良市雑司町406-1


安寧を願って建立された東大寺と盧舎那仏

奈良時代は飢饉や大地震など凶事が相次ぎ、混乱した時代でした。このような社会状況を背景として、聖武天皇は国家鎮護のため全国に国分寺・国分尼寺の建立を命令。東大寺は国分寺の中核とされました。
大仏さま(正式名称は盧舎那仏)の造立には全国各地から材料が集められ、多くの人々が協力しました。「苦難を乗り越えるには、人々が心を一つにしなければなりません。大仏さまを造ることだけが目的ではなく、その過程によって人々が心を一つにすることが聖武天皇の願いでした」と、東大寺録事、東大寺塔頭宝珠院住職の佐保山暁祥さん(上写真)が教えてくださいました。


東大寺の正門である南大門の両脇には、高さ8.4mの巨大な金剛力士像が2体安置され、境内を守護しています。鎌倉時代の仏師、運慶、快慶らの作とされ、口を開けているのが「阿行像」(①)、口を閉じているのが「吽行象」(②)です。
③東大寺大仏殿の中で、大仏さまに次いで参拝客の人気を集めているのが「柱の穴」。大仏さまの鼻の穴と同じ大きさで、この柱の穴をくぐり抜けると無病息災のご利益があると言われています。頑張れば大人でもくぐり抜けられる大きさ。ぜひ試してみてください。




国宝の五重塔と三重塔を共に有する唯一の寺



①左から興福寺・執事長事務取扱の夛川良俊さんと大森俊貫さん。②五重塔初層内陣<西>の阿弥陀如来三尊像。③五重塔は、優れた耐震構造が有名。基壇から心柱が貫かれ、ここに5つの独立した層が積み重なっているため、各層がバラバラになるのを防いでいます。


興福寺は、中臣(藤原)鎌足を起源とし、藤原氏の氏寺として興隆しました。
国宝に指定されている五重塔は、730年、興福寺の創建者である藤原不比等の娘である光明皇后によって創建されました。その高さはなんと50m。5回の被災・再建を経た後、現存しているものは1426年頃に再建されたものです。初層の東に薬師浄土変、南に釈迦浄土変、西に阿弥陀浄土変、北に弥勒浄土変を安置。普段は一般公開されていませんが、今年8月26日から6年ぶりに公開されます。
さらに、同じ時期に寺内最古の建造物であり、国宝の三重塔も公開。三重塔の初層内部には仏や菩薩が千体ずつ描かれ、東の須弥壇には弁才天像と十五童子像が安置されています。
2つの塔の同時公開は初めてということで、大変注目されています(三重塔の公開は5年ぶり)。国宝の五重塔、三重塔を共に有するのは全国でも興福寺だけ。古都奈良のシンボルであると同時に、誇りでもあります。貴重なこの機会にご参拝してみてはいかがでしょう。


①木造千手観音菩薩立像。あらゆる方法で人々を救う観音菩薩の慈悲を象徴していると言われています。②乾漆八部衆立像の一部。インドで古くより信仰され、仏教に取り入れらた八神で、向かって一番右が阿修羅像。※いずれも、国宝館で安置。

法相宗大本山 興福寺
奈良市登大路町48




世界遺産「春日大社」



屋根を貫いているのが樹齢600年のビャクシン(上写真右)。もともとまっすぐだったものが、雨や台風で倒れたと推測されています。並んで立つのは、なんと樹齢800年の杉(上写真左)。

春日大社
奈良市春日野町160


「春日大社は、今年60回目を迎える式年造替で賑わっております」と、 ご案内してくださったのは春日大社主事の秋田真吾さん。
春日大社には3000基の燈籠があります。平安時代後半に武士や 貴族が、江戸時代には庶民から奉納しました。全灯籠に一斉に灯がともるのが、毎年8月14・15日に行われる「中元万燈籠」。日も落ちきった19時頃、ほの暗い境内で煌々と灯籠が光る様子はなんとも幻想的です。



伝統の製法を頑なに守り続ける奈良漬店



左から店主の今西泰宏さん、お父さまの康雄さん、お母さまの孝子さん。

「清酒粕のみで長期間漬ける奈良漬けを作っている、日本で最後の一軒」と、店主の今西泰宏さん。6カ月前後、長くて1年半位しか漬けない促成品が多いところ、今西さんは先代の父から教わった、江戸時代の創業当初から続く製法を守り続けています。5回、6回と清酒粕の漬けかえを行い、長い年月をかけて野菜の塩分と水分を抜くため、一般のものより色も黒く味はまろやかで深みがあります。



長期熟成のため、倉庫には樽がびっしり。フォークリフトを導入して徹底管理された蔵の風景は、迫力があります。

株式会社今西本店
奈良市上三条町31




日露戦争勝利を機につくられた宿泊所



奈良ホテル
奈良市高畑町1096


奈良ホテルは、日露戦争に勝利した日本が、外国人を呼び込む目的で1909年に開業。国賓や皇族の宿泊する迎賓館に準ずる施設としての役割を担っていました。理論物理学者のアインシュタインやマーガレット英国王女、佐藤栄作なども宿泊し、彼が演奏した約100年前のハリントン社のピアノが今も保存されています。



柿の葉の香りを楽しみながら



右から順番に広報の西井理貴さん、山﨑さん、千々岩和美さん
柿の葉すし本舗 たなか なら本店
奈良市東向中町5-2


柿の葉すしは奈良県・石川県などの伝統食です。なかでも、奈良県は全国有数の柿の産地。江戸時代、紀州の浜でとれた鯖を塩締めして持ち帰り、身近な柿の葉で包んだことが発祥です。利便性から始まった手法ですが、柿の葉の豊かな香りと鯖の旨味が酢飯にうつり、三位一体の相乗効果も。店長の山崎津代美さんは「柿の葉の香りをかいでからお寿司を食べてみてください」とすすめます。



建物が全て東を向いていた商店街



東向商店街は、奈良市を代表するアーケード街。室町時代末期は、興福寺の門前町でした。当時は通りの東側が興福寺の境内で、西側にのみ建物が並んだことが、「東向」という名前の由来です。



奈良・上北山伝統の高速餅つき



左から、上平幹弘さん、店主の中谷充男さん、阪本雅章さん。

高速餅つき・中谷堂
奈良市橋本町29


商店街の名物とも言えるのが、中谷堂の高速餅つき。道路に面した店内で、店主の中谷充男さんが「はいっ」という掛け声とともに、目にも止まらぬスピードで餅をつきます。パフォーマンスではなく、これは中谷さんの故郷・上北山村の伝統のつき方。蒸したての餅米を熱いうちに早くつくことで、やわらくコシのある餅に仕上がるのです。



最高速で1秒2回のペースになる高速餅つきは、つき手と返し手の息を合わせることが重要。タイミングがずれると美味しい餅ができない上、危険です。




創業114年、墨・書道液の老舗



代表取締役社長の綿谷昌訓さん。趣味は写真を撮ること。カラー筆ペンは大人向けの塗り絵にも使われ、海外でも人気です。

書道の授業やご祝儀を贈る時、誰もが一度は呉竹の商品を使ったことがあるのではないでしょうか。全国の墨の需要の約95%が奈良で作られており、その中心でもあるのが呉竹。1902年、製墨業を営む会社として創業しました。現在も墨、書道液、筆ペンの技術を生かして様々な商品を開発しています。近年、人気を呼んでいるのが、カラー筆ペン。しなやかな書き味と繊細で美しい色合いやカラーバリエーションが魅力となり、アメリカやヨーロッパなど海外にも展開しています。


工場内での墨滴生産の様子。書き初めの準備をする年末の繁忙期の生産量は、通常の倍になるとか。




歌謡曲を生み出し続けた土地、京終



難読駅名で知られる、JR万葉まほろば線(桜井線)の京終駅。平城京の果てに位置したことが、地名の由来です。
「狂った果実」でデビューした石原裕次郎らを輩出したことなどで有名な帝国蓄音器(現・テイチクエンタテインメント)が1934年に設立されたのは、この京終駅の近くでした。創業者の南口重太郎が最初に立てた目標は、レコードを10万枚販売すること。自ら自転車を運転してレコードを運び、最寄駅から電車に乗って、大阪までセールスしに行ったことが記録されています。
京終駅周辺は今でこそ落ち着いた静かな場所ですが、レコードがまだまだ人気だった80年代前後はテイチクの奈良工場(※現在は閉鎖)もあり、賑やかな繁華街でした。
奈良工場での勤務経験のある奥谷禎章さんは、当時の様子を知る数少ない社員のうちの一人。会社への愛着も強く、「当時の貴重なLPやテープは宝物」と語っています。


創業者の南口重太郎の似顔絵と、当時の帝国蓄音器ロゴマーク。




奈良市観光経済部観光戦略課交流係の西手清英さん。一筋縄ではいかない鹿の扱いもお手の物。鹿の後頭部あたりならば、触れても鹿が嫌がらないそうです。




奈良に泊まる

歴史の奥深さと、豊かな自然をあわせ持つ奈良市ですが、『ホテル日航奈良』では、奈良を代表する、春日大社・東大寺・興福寺・金峯山寺の各4社寺をイメージしたコンセプトルームを用意しているのが特徴。各社寺をモチーフにした華倭里あんどんが旅の疲れを癒してくれ、お部屋の中でも奈良を存分に満喫することができます。


ホテル日航奈良
奈良市三条本町8-1
JR奈良駅西口直結
TEL.0742-35-8831

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