2015年01月08日16時12分

ファイブエル ミシラン 幸せの黄色いカレーを求めて 前井食堂

幸せの黄色いカレーを求めて
前井食堂





 白ごはんに赤い福神漬け、固茹で卵の黄身のような黄色いカレー。ルーは小麦粉とカレー粉だけで仕上げ、名産であるメークインも人参も入っていないのが不思議だが、「前井食堂」で50年以上前から提供されるカレーライスである。

 明治30年創業。5代目の前井敏弘さんは言う。

「僕が帰郷してこの店を継いだとき、昔風のカレーをなぜいつまでも作っているんだろうと思って変えようとしたんです。でもダメでした。この店に来たらこのカレーしか食べないというお客さんが多くて」

 前井食堂のある場所は、ニシン漁盛んなりし時代、江差から函館まで、ニシンを馬車に載せて運ぶ「馬追」たちが通る道だった。当時の旅人が食して以来、ずっと継承されてきた味を求め、あるとき地方の風俗史を研究する大学教授がやってきた。曰く __。

 「昔は函館でも札幌でもこのような黄色いカレーが食べられたのに、今はここにしか残っていない。ずっと気になっていたんだ」と。

 「この店ではこれしか食べないメニュー」はいくつかある。麺から作る味噌ラーメンしかり、天かすと玉子と肉だけをアルミ鍋で煮込んだ鍋焼きうどんしかり。

 「鍋焼きうどんは、今風の土鍋で提供するものもあるんです。でもアルミ鍋の鍋焼きうどんしか食べない人がいるので、両方のメニューを作っています。アルミ鍋を探すのも大変なんですけどね(笑)」

 とはいえ、前井さんが帰郷して店を継いだのは、好きな釣りができるからだ。鮎の季節には、釣った鮎を宴会に出して欲しいという「お願い」もあるという。スローライフを楽しむ人が作る黄色いカレーは、懐かしさにほっこりする味だった。




前井食堂
カレーライス 550円
厚沢部町本町45-7
【T E L】0139-64-3053
【営業時間】11:00から15:00 17:00から19:30
【定休日】日曜日



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