2016年03月23日10時00分

3月のコラ!!ム 木村政雄

(その1)
 涙ながらに不倫を釈明する某落語家さんの会見を見て、なぜか「壇蜜」、いや「断捨離」という言葉が頭に浮かびました。「断捨離」とは、不要な物の数を減らし、生活や人生に調和をもたらそうという流行の生活術や処世術のことで某落語家さんもこの顰(ひそみ)に倣ったところ、相手の女性の側から思わぬ反撃にあったものと思われたからです。もとはご自身が蒔いた種とは言え、テレビで涙の釈明会見まで強いられるとはお気の毒なことではあります。

 でも、言いたかったのはこの某落語家さんのことではありません。「断捨離」のことです。2010年の流行語にも選ばれたこの言葉、近年では実践する人を「ダンシャリアン」や「ミニマリスト」と呼ぶほどに普及しているのだといいます。確かに同感できるところも多いし、モノばかりではなく、考え方や欲望にも応用できるとは思うのですが、そのドライさを人間関係にまで持ち込むというのはどうだろう?如何なものかと思います。
 そこで「断捨離」の反対語というのを考えてみました。「断つ」の反対は「継ぐ」、「捨てる」は「拾う」、「離れる」は「接する」、合わせて「継拾接」となります。「見合い結婚は冷たく始まるが熱くなり、恋愛結婚は熱くなるが次第に冷めていく」という言葉もあります。

 人間には感情というものがあって、たとえ婚姻関係にはなくとも、自分と相手方の双方が納得していればともかく、ただ熱が冷めたからといって、その都度に断ったり捨てたり離れたりしていたのでは、いたずらに相手方の感情を損なうばかりなのではないでしょうか。冷めたスープをホットプレートで少し温めるくらいの配慮も、時には必要なのではないかと思います。これ、件の落語家さんの話じゃありませんよ。あくまでわが身に置き換えてのたとえ話ですので、くれぐれも誤解なきように!


(その2)
 ワイドショーの天気予報を観ていたら、気象予報士が「冬の4K」と言っていました。「寒・強風・乾燥・快晴」のことです。なるほど今朝の出勤時は寒く、風も強かった。うまいこと言うなと感心しました。近頃はワイドショーの中でも天気予報の占める比重が高くなり、単なる予報だけではなく、気の利いたコメントが求められるようになったのかもしれません。私の悪い癖なのかもしれませんが、こういうのを聞くと直ぐに自分なりの4Kを考えてしまうのです。私の4Kは、「緩・京風・完走・改姓」といったところですかね。余りこだわらないで緩-く、あくまでも京の雅を忘れず、与えられた人生を走り切り、万病院克服大居士と改姓して極楽へ旅立つ。どうでしょうかね?

 テッセイという会社があります。正式な社名はJR東日本テクノハートTESSEIという新幹線車両清掃の専門会社ですが、かっては「キツイ・キタナイ・キケン」という3Kの代表的な職業とされ、職場のモチベーションも低く、離職率も高い会社だったのですが、その様子を見た上層部がこのままではいけないと、10年前、我々の仕事は清掃業ではなくサービス業です。あなた方は掃除のおじちゃん、おばちゃんではなく、新幹線劇場のキャスト。お客様に温かな思い出をお持ち帰りいただくのが仕事です。同じ3Kでもこれからは、「カンシャ・カンゲキ・カンドウ」を目指そうじゃないかと社内改革に努め、今では奇跡の職場と呼ばれ、国内外からの視察や研修依頼が絶えないほどになったといいます。言葉を置き換えることによって自らの仕事を再定義したのです。

 お仕着せの言葉をただ唯々諾々と受け入れるのではなく、自分なりにアレンジしてみるのも面白いかもしれませんね。

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